人工授精(AIH)の体験談をまとめています。
人工授精(じんこうじゅせい)とは、生殖医療技術の1つで、人為的に精液を生殖器に注入することによって妊娠を実現することを目的とした技術のことである。
出典元:ウィキペディア
採った精液をクリニックが洗浄・濃縮し、排卵日に子宮に注入する方法です。
人工と聞くと、ちょっと怖い雰囲気がありますが、受精や着床については自然妊娠と変わりません。精子が卵子に出会うまでの距離を短くして、受精の可能性を高める精子が卵子に出会うのをサポートします。
「自然妊娠にちょっとお手伝いしてあげる方法」と言った方が分かりやすいかと思います。
私のこれまでの妊活歴を簡単にまとめます。
かりこ(39歳)
- 不妊検査で黄体機能不全と診断される
- タイミング法1回目で陽性反応→化学流産、2回目・3回目は陰性
- 子宮鏡検査で子宮内膜ポリープ→手術
今回ステップアップで人工授精を受けることになりました。
初めての人工授精1回目の体験談を書きます。
人工授精ってどんな感じ?と思っている方や、これから人工授精を受ける方の参考になると嬉しいです。
人工授精の成功率は?タイミング法と比較!
初めてクリニックに行った時に確率(成功率)の説明を受けました。
妊娠する可能性があるのは排卵日の6日前から排卵日の1日後。
その間に性交し妊娠する確率は健康な20代の女性でも25~20%※不妊状態の夫婦だと約2%
【不妊治療での確率】
タイミング治療(3~6回)で妊娠する確率:4~8%
↓
人工授精で妊娠する確率:8~10%
【人工授精回数の目安】
20代 3~6回
30代前半 3~6回
30代後半 3回以内
40代 0~1回
ちなみに妊活雑誌「赤ちゃんが欲しい」に書かれていた成功率は下記でした。
結婚して2年以上妊娠せず、タイミング法をクリニックで指導してもらった場合の成功率は2~3%。人工授精を行った場合は7~10%ただし、女性の年齢が高い場合などの例外があります。
また、以前読んだ書籍「妊活に不妊治療はいらない」に人工授精は必要のない治療と書かれていました。理由は、人工授精は普通の性交を人工的にしているだけだからとのこと。
人工授精が適応されるのは2パターンだけで
- セックスレス
- 子宮頚管(膣から子宮への通り道)に問題
フーナーテスト(性交後検査)で問題なければ人工授精は適応しない。とありました。
うちの夫婦の場合は「フーナーテストを未だしていない」「セックスレス」に該当します。排卵日付近では子づくりの為にとタイミングを取りますが、残業や体調不良でうまく取れず、自己流のタイミングをしていた時は険悪なムードにもなりました。そう考えると、人工授精は適応しているのではと思っています。
人工授精は妊娠率を下げる?!
人工授精では妊娠に必要な精子だけを選り分けなくてはいけない。この人工的な作業が問題で薬品や遠心分離機で強制的に精子を回すため、精子が傷つく。実際に処理前と処理後の精子を比べたら寿命に差が出てくる。病院から人工授精を勧められたら…
体外受精はハードルが高いと思っているなら1回くらいは人工授精するのもあり。ただ、タイミング法と併用すること。
出典元:妊活に不妊治療はいらない
人工授精の準備と流れ
人工授精をする前の準備
【1】人工授精を行う際は事前に夫婦共に感染症の血液検査が必要となります。
検査項目は下記4項目
- HBs抗原(B型肝炎の検査)
- HCV抗体(C型肝炎の検査)
- HIV抗体(エイズの検査)
- TPHA(梅毒の検査)
【2】人工授精の同意書に夫婦揃ってサインをし、提出します。
人工授精の流れ
●月経開始から10日目頃に超音波検査で排卵日を予測
超音波で卵胞の大きさを確認し、排卵日を予測します。
↓
●人工授精の日を決める
超音波検査で排卵日が近づいていることを確認したら、人工授精を行う日を決めます。
*排卵日が不規則など排卵障害のある場合は卵胞の成長をサポートしたり、卵子の数を増やすために排卵誘発剤を使う場合があります。
↓
●人工授精当日に自宅か病院で採精してもらう
自宅の場合は専用容器を受け取り、人工授精予約時間の3時間以内に採精してもらいます。
*病院の場合はメンズルームで採精を行います。
*人工授精当日に精液を採取できない場合は精液を凍結保存しておく方法もあります。施設によって費用が変わります。
↓
●精子を洗浄し濃縮する
精液を顕微鏡で確認してから培養液に入れ、遠心分離器にかけて洗浄・濃縮します。未熟な精子や最近などを除菌し、質の良い精子だけを残します。
↓
●超音波検査後、精子を子宮に注入する
超音波で卵胞を確認してから、専用のカテーテル*で調整した精子を子宮の奥に注入します。
*細長く、やわらかい樹脂製で刺激が少ないつくりで、挿入しても痛みはありません。
*感染予防の抗生剤が処方されます。
↓
●排卵チェック
人工授精を実施してから数日後、排卵されたかどうか超音波検査でチェック。
*黄体ホルモンを補う薬の処方や注射をすることもあります。
↓
●妊娠検査
人工授精から約2週間後、妊娠検査を行います。妊娠検査薬が陽性反応の場合は、血液検査でhCGホルモンを測定し妊娠を判定します。
人工授精1回目の体験談
当日の朝、だんなから専用容器を受け取り、病院へ向かいました。うちのだんなは採精に負担を感じないようで協力的でした。
突然人工授精の日が決まっても
と肩をたたかれます。(なんのプロ?!)
容器は冷やしすぎず、温めすぎず、人肌程度の温度で保持して持っていく必要があります。以前、精液検査した時は冬だったので、タオルで巻いて、お腹に入れて持っていきました。今回は梅雨の時期、そこまで暑い日では無かったので、袋に入れた容器をポケットに入れて持参。
病院で容器を渡し、精液の調整を待ちます。
通常30分~1時間程度らしいのですが、精液の状態によって、時間は異なります。私は病院が混んでいたのもあり、容器を渡してから2時間以上経ってから診察室に呼ばれました。
調整前と調整後の精液の比較
クリニックに通い始めた時の精液検査の数値は「異常なし」でしたが、今回は直進率だけ「異常値」でした。検査結果は体調によって差が出ることもあります。
ただ、今回の調整で直進率は基準値になり、その他の項目もいいものだけを濃縮しているためググッと数値が上がりました。
精液量 | 運動精子 濃度 | 精子濃度 | 運動率 | 直進率 | 形態正常率 | |
精液所見 | 3.3ml | 2400万/ml | 4500万/ml | 53% | 50% | 60% |
調整後 | 0.5ml | 5000万/ml | 6900万/ml | 72% | 60% |
調整後の精液の数値を目にしてみると、確かにタイミング法より確率が高いのにも納得!
いよいよ初めての人工授精
検査台で小さいビーカーに入った精液を見せてもらいました。間違えがないように診察券番号と名前が書かれていました。
まずは、超音波検査で卵胞チェック!
そのまま、人工授精に突入!
器具が入ります。
いつも通り痛いのが怖くてお尻があがる←
『狭くなる』の一言がパンチありすぎて、瞬時に思いっきりお尻下げました。
わずか2、3分で終了。
全然痛くありませんでした!!(通水の方が痛い涙)出血もありませんでした。
待ち時間はかかったけど、負担は全く感じませんでした。
人工授精6回目で授かったS先輩が
と言っていた言葉に納得しました。
人工授精当日は抗生剤が処方されたので1日分服用しました。
排卵チェック
人工授精2日後のD20に排卵チェックで排卵を確認。私は黄体機能不全なので黄体ホルモン剤のデュファストンを処方されました。
妊娠検査
デュファストン服用12日。D32に妊娠検査のため、妊娠検査薬を使用。
結果は…
\真っ白/
陰性でした。
ちょうど人工授精をはじめる前に”だんな”の職場の人の奥さんが人工授精1回で授かったという話を聞いていたのでプレッシャー半分、期待半分でしたが、やっぱり無理でした。
確率8~10%ですからね…
気を取り直して2回目の人工授精を頑張りたいと思います!
人工授精の値段は?
人工授精の費用は施設によって様々ですが、平均的には1周期で3万円前後のところがほとんどです。人工授精は保険適用外となります。
診察代、超音波検査(排卵のタイミングを確認するため)や、場合によっては卵巣刺激の注射や内服薬、そして男性の感染症の検査や精液の洗浄などの費用がかかります。
【1】感染症の血液検査 8000円
私は最初の不妊検査で検査を済ませています。だんなは近所の内科でやってもらいました。
【2】超音波検査 2500円
【3】超音波検査2回目+通水治療 1000円
*卵管が細いと診断されたので通水治療を行っています。
*2回目のエコー検査は通水治療をしたので保険適用されていました。
【4】超音波検査3回目+人工授精 20000円
【5】排卵チェック+黄体ホルモン処方 5000円
【6】妊娠検査(陰性だったため、遺残卵胞確認のエコーのみ) 2500円
現在の合計費用は39,000円(血液検査を除けば31,000円〉
みんなの人工授精エピソード
タイミング法よりもプレッシャーが少なく精神的にラク(41歳)
私たちにとっては、「この日にセックスしなきゃ!」とプレッシャーがかかるタイミング法よりは精神的にラクでした。そのせいか夫婦仲がギクシャクしてしまったので…。方法としては、ほとんど自然妊娠と変わらないし、緊張せずに臨めました。卵胞チェックの時に「排卵はまだかな~」とヤキモキしたものの、痛みもなく迷うくらいならチャレンジしてみてはと思います。
朝一の精液採取はつらい。あまりあせらずに治療しています。(34歳)
タイミング法も試したけれど、頸管粘液が少ないため医師に人工授精をすすめられ、3回トライ。午前中に行なう病院のため、朝一で夫に精液を採取してもらうのですが「朝からそんな気分になれない…」と何度かダメだったことが。また、私の体調がすぐれず、思うようにできないことも。あせらず旅行などで気分転換をして楽しみを見つけるようにしています。
タイミング法を繰り返すよりも勇気を出してチャレンジしてみては(39歳)
37歳で不妊専門クリニックに転院した歳、体外受精をすすめられましたが「その前に一度、人工授精をしたい」と私から申し出ました。結果的には妊娠せず、もう体外受精しかないと、あせってステップアップ。こわい、痛い、自然じゃない、治療費がかかる、そう思ってタイミング法だけを続けている人は、勇気を出してチャレンジしてみませんか?
理解しない親を説得。処置は案外痛かったなぁ(26歳)
人工授精によい印象を持っていない親を説得するのが大変でした。忙しい朝、夫に精液をとってもらい病院へ。思っていたよりも人工授精の処置が痛くて、終わってからも少量の出血が止まらず不安でした。
体外受精に比べて気楽に試せる治療法です(40歳)
排卵しにくい体質で何回も中止になってしまい、最終的に3回トライしました。体外受精(1回58万円)をしているいま、人工授精は金銭的、精神的、体力的に負担が少なく、気楽に試せる方法だと思います。
人工授精で授かった芸能人
・大島美幸さん(森三中)…2014年(35歳)1回目の人工授精で妊娠
・後藤真希さん…2015年(30歳)2回目の人工授精で妊娠
・神戸蘭子さん…2018年(36歳)3回目の人工授精で妊娠(第二子)
・穴井夕子さん(元東京パフォーマンスドール)…2002年(28歳)で1回目の人工授精で妊娠
・福嶋晃子さん(プロゴルファー)…2013年(40歳)人工授精で妊娠
・吉田明世さん(元TBSアナウンサー)…2016年(29歳)人工授精で妊娠
まとめ:人工授精は思ってた以上に気楽でした。
人工授精と聞くと、たいそうで怖いイメージだったのですが、やってみると思った以上に気楽にできました。もちろんあくまでも「みんなの人工授精エピソード」にあるよう、クリニックや個人差はあるかと思います。
「人工授精は全然痛くないよ、入れるだけだよ」とは聞いていたものの、やっぱりやったことない初めての事にはなんだって抵抗がありますよね。
一度壁を乗り越えてみると、一気に気が楽になりました。
私は小まめにタイミングを取るより、人工授精の方が精神的にも体力的にも負担が少なくて合っているのかもと思いました。
今回の人工授精がダメだったとしても、また次もチャレンジしようと思います。気持ちに余裕があればタイミングと併用してみます。
人工授精に不安をお持ちの方の参考になれば嬉しいです。